フランス音楽三昧

 7月15日 マチネのトリフォニーホールでフランス音楽をたっぷりと味わってきた。一日遅れのパリ祭気分。

 秋山和慶指揮の新日本フィルの演奏、ピアノのソリストはフランスのパスカル・ロジェ

 フランス音楽というのは、日本人にとってイギリスやアメリカのそれと違いかなり身近なもの…かというとそうでもない。フランスの作曲家の作品で日本のオーケストラが取り上げるのは、ラヴェルドビュッシーとサン・サーンス、ベルリオーズのほんの一部の作品と相場が決まっている。

 「たまには他の曲も聴かせてくれ!!」

 そんな中、この日は溜まったフラストレーションを解消できるとても素晴らしいプログラムだった。

 1 寄港地(イベール

 2 ピアノ協奏曲 第5番「エジプト風」(サン・サーンス)

 アンコール:グノシェンヌ 第3番(サティ) パスカル・ロジェが弾いたこれは絶品だった!

 3 交響曲 変ロ長調ショーソン

 ★ ローマ〜パレルモチュニス〜ネフタ〜ヴァレンシアを船旅で周る「寄港地」。静かな弦のさざめきで始まり、チュニスでエキゾチックなオーボエが奏でるイスラムの歌、最後の熱狂的なスペインの祭りは上質の観光映画を観るよう。初めて買ったこの曲のレコードはオーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の25cmLPだった。その頃から大好きな曲だ。秋山さんの演奏は十分満足のいくものだった。只、オーケストラの音にもう少し透明感があったら良かったかなとは思う。

 ★ サン・サーンスの「エジプト風」は2番の協奏曲ほど頻繁に演奏はされないが、タイトルがサン・サーンスの付けたものではないにせよ、いかにもそれらしい雰囲気を持つ佳曲。特に第2楽章のエキゾチックさは出色!パスカル・ロジェの爽やかなピアノはこの曲にピッタリだった。

 ★ 本日のメイン・ディッシュはショーソン唯一の交響曲。彼は若い頃から熱心なワグネリアンだったから、フランス音楽とはいえ響きは重厚。でも随所に現れる旋律は如何にもフランス風?な美しさを感じさせるものだ。特に第2楽章でチェロがソロで奏でる哀愁を帯びた旋律は心を打つ。そして最後の第3楽章。この部分こそピン・ポイントでこの曲が好きになった重要なところ。冒頭、うねる弦に乗ってトランペットが奏でるテーマは、大昔テレビのニュース番組に音楽がかぶさっていた時代に大事故や火事の場面で屡々使われていて、子供ながらすっかり気にいってしまったもの。

 

 そんなわけで、この曲がプログラムに乗るとちょいちょい足を運ぶのだが、新日本フィルの演奏はとても上手かった。第2楽章のチェロも良かった。余談ながら、この曲の録音で今でもベストと思っているのはポール・パレー指揮デトロイト交響楽団のマーキュリー録音。音は古めかしくなったがワーグナー風フランス音楽のベスト・パフォーマンスだ。

 フランス音楽にたっぷり浸った2時間。大満足で会場を後にしたのだが、名演奏にも関わらず客席は空席が目立った。やっぱりラヴェルとかドビュッシーでなければ駄目なのかな。

 

 

 

広告を非表示にする